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京都市東山区

伝統的建造物保存修景工事


高台寺の家・外観

京都には町家と呼ばれる古い木造住宅がまだ多く残っています。
しかし、京都市では毎年古くなって、手入れも大変、耐震改修にも多額の費用がかかるなどの理由で、毎年1・5%ずつが取り壊されているとの統計があります。
古い物は価値がないのではなく、私は古い木造住宅は宝だと思っています。日本的な柱梁と壁、屋根瓦の連なる街並みは美しいものです。日本人だけでなく、外国の方が古都へ訪れるのは、ビルを見に来るのではなく、文化的価値のある風景や街並みだと思っています。
高台寺近く八坂の塔の下で築百年以上の古民家の修景修繕工事をしました。国と市の補助金を頂き、都市景観政策課の指導で工事を進めました。
美しい町家が一軒、蘇りました。




北側外装工事

八坂の塔の目の前です。観光客もたくさん通られる表(北側)です。
柱や梁、軒天などの木部は柿渋の古色を2度塗りしています。壁は漆喰塗りで白い壁とのコントラストが美しさを出しています。
雨樋は銅板性のシンプルなものを使っています。
玄関は幅の関係上、引戸から扉に変えました。でも、デザインは格子戸と同じように格子を組んだ扉です。
派手さはありませんが、シンプルですっきりした京町家の表が蘇りました。

高台寺の家・北側外装施工後 高台寺の家・北側外装施工後 高台寺の家・北側外装施工後 高台寺の家・北側外装施工後

施工前

1階表(北側)は店舗として使われていて、庇が板金で継ぎ足されていたり、2階窓の面格子も一部鉄製で補足されていました。使い勝手で少し建築時より変えてあるのが分かりました。

高台寺の家・北側外装施工前 高台寺の家・北側外装施工前 高台寺の家・北側外装施工前




南側外装工事

高台寺の家・南側外装施工後

裏(南側)になります。表(北側)同様の柿渋塗りの木部に漆喰塗りの白壁仕上げとしています。
施工前のアルミの物干しは、横板を貼って目隠ししました。風も通りますし、エアコン室外機も隠す事が出来ます。
和の雰囲気を保ちつつ、使い勝手も考慮しました。










高台寺の家・南側外装施工後 高台寺の家・南側外装施工後 高台寺の家・南側外装施工後

施工前

2階にはアルミ製の物干しがあり、1階には、CB積み(コンクリートブロック積み)の塀があり、風情を壊していました。

高台寺の家・南側外装施工前 高台寺の家・南側外装施工前




内部工事

2階天井を見上げると新しい屋根野地板と垂木が見えます。古い柱もホコリを落とし洗いましたので、黒色が蘇りました。
天窓からはやさしい光が差し込んでいます。
床は杉板の無垢材を貼り、とても歩き心地がよくなっています。
しかし、今後どのように利用されるかが決まっていなかったため、壁は傷んだ部分の補修のみ、天井は貼っていません。

高台寺の家・内部施工後 高台寺の家・内部施工後 高台寺の家・内部施工後 高台寺の家・内部施工後 高台寺の家・内部施工後 高台寺の家・内部施工後

施工前

天井は無垢材が使われていて解体するのはもったいなかったのですが、雨漏りでの傷みがひどく再利用は無理と判断しました。
電気配線も露出のものがほとんどで、漏電の心配もあり全て撤去しました。1階のタイル製の流しは、残すか最後まで迷いましたが、後ろの壁の補強や配管の改修のため取り壊すことになりました。

高台寺の家・内部施工前 高台寺の家・内部施工前 高台寺の家・内部施工前 高台寺の家・内部施工前 高台寺の家・内部施工前 高台寺の家・内部施工前

解体後

天井板と床板を取り外してみるとよく見えてきます。
よくこれで100年以上建っていたな!?と思うほどの細材で古い再利用材も使われていて、それがチョイと乗せてある、そんな感じの組み方でした。地震などにはその方がかえって強いのかも知れません。

高台寺の家・解体 高台寺の家・解体 高台寺の家・解体 高台寺の家・解体 高台寺の家・解体

基礎工事

土台は、ほとんど腐ってありませんでした。柱の根元も腐って減ってしまっています。
やはり、基礎から造る必要があります。基礎を造ることで柱が地盤より上がるので、その分腐りにくくなります。
建物の内側周囲に新しく基礎を造りました。又、傾いて補強の必要のある部分には、新しく柱を建て、金物で補強しました。

高台寺の家・基礎工事 高台寺の家・基礎工事 高台寺の家・基礎工事 高台寺の家・基礎工事 高台寺の家・基礎工事 高台寺の家・基礎工事 高台寺の家・基礎工事 高台寺の家・基礎工事




屋根

屋根を日本瓦で葺き替えました。
天窓もガラス瓦を入れて再現しました。

高台寺の家・屋根施工後 高台寺の家・屋根施工後

施工前

高台寺の家・屋根施工前

屋根がひどく傷んでいました。雨漏り箇所もあちこち見られ、屋根下地より直す必要がありました。






解体

高台寺の家・屋根解体

前後に足場組みとシート養生をして、瓦を一枚一枚めくります。
土、その下の薄い杉板のトントントと呼ばれている防水の役目をしていたもの、土ホコリを手ほうきで掃きながら別々に解体していきます。
一番注意しなければいけないのは、職人さんの足が下へ抜けてしまう事です。安全第一に考えての作業となりました。


野地板貼り

屋根解体の後、母屋や垂木を新調し、野地板を貼りました。合板としましたが、軒先部分は桧板を採用しました。

高台寺の家・屋根野地板貼り 高台寺の家・屋根野地板貼り

ルーフィング貼り・瓦浅打ち

瓦の下は、防水材ルーフィングを貼っています。
屋根の一部に明り取り窓(天窓)の部分を瓦割り付け寸法に合わせてあらかじめ空けておきます。

高台寺の家・ルーフィング貼り・瓦浅打ち 高台寺の家・ルーフィング貼り・瓦浅打ち

瓦葺き

高台寺の家・瓦葺き

日本瓦で土を入れない、引っかけ浅葺きで葺きました。









塗装


しっくい塗り

高台寺の家・しっくい塗り

秋の終わり、冬の始まりの11月に外壁の漆喰塗りをしました。
漆喰は練れば練るほどよいようです。粘り気が出て強くなり、長持ちするのでしょうか。もう少し詳しく左官屋さんに聞いておけばよかったです。







高台寺の家・しっくい塗り 高台寺の家・しっくい塗り 高台寺の家・しっくい塗り

柿渋古色塗り

軒天の桧板と垂木も柿渋の古色で2回塗りしました。
1回塗って、10日ほど後に2回目を塗りました。木目が分かる程度の濃さで均一に塗装されています。

高台寺の家・柿渋古色塗り 高台寺の家・柿渋古色塗り

高台寺の家・柿渋古色塗り 高台寺の家・柿渋古色塗り 高台寺の家・柿渋古色塗り

壁下地塗り

土壁を補修しました。
よく似た土を左官さんに探してもらいました。元々の壁がカラカラに乾いていますので、そのまま塗るとうまくくっつきません。そのため、まずは長時間かけて練りました。
刷毛で水をサッとかけたり、水を塗ったりして、下地を湿らせてから塗ります。柱の際や傷みの激しい所を補修し、完全に乾くまでに中塗りをしました。
仕上げは、京都のじゅらく壁とするか、漆喰壁にするかが決まってからになります。

高台寺の家・内壁 高台寺の家・内壁 高台寺の家・内壁

モルタル塗り

玄関外の土間と裏の土間を黒色のモルタル仕上げに復元しました。元々黒モルタル塗りとなっていましたので、今回、ガスや水道引き込み工事で土間を割ったり、ヒビ割れのあった所も全て塗り替えました。
黒色は汚れが目立ちますが、モルタル仕上げですので、気にせず水洗いができます。
きれいに見え、手入れが楽な仕上げです。

高台寺の家・モルタル塗り 高台寺の家・モルタル塗り 高台寺の家・モルタル塗り